4月、未だデザイン決定に奔走していた時の話です。
パン屋を始めるにあたって母が取った行動があります。
ホットプレートを買ったことです。
我が家にはホットプレートが長年ありませんでした。
生まれた時からなかったので22年は少なくともありませんでした。
自宅で、お好み焼きをしたり、焼き肉をやいたり、みんなで何かを囲んで食べるという習慣がありませんでした。
カセットコンロと鍋も3年ほど前に初めて購入したというくらい、同じ釜の飯を食う文化は我が家にはなかったのです。
鍋を買ったのだから、ホットプレートも欲しい。
それは母がよく言っていたセリフです。
個人的には、そこに投資しなくてもいいんじゃないかと思っていたので、あまり乗り気ではありませんでした。
しかし、今回母の中では、今が買い時だったようです。
パン屋を建て、自営業になるということは、簡単に外食できなくなると考えたのでしょう。
「もう外で焼き肉は食べられないから、家でホットプレートを使って食べるの。」
そういう理由で今年4月、我が家に初のホットプレートがやってきました。
とりあえずでかいな。
それが、初めて対面した時の感想です。
初めてホットプレートを使い食事をする日。
私は焼き肉かな、お好み焼きかなと小学生のように夕飯を楽しみに帰宅しました。
初めての経験はいくつになっても心躍るものがあります。
ダイニングに行くと、ジューといった音が聞こえます。
焼き肉だったのかとダイニングに入っていくと、
そこには大量の茶色い焼きそばが拡げられていました。
えー・・・・・。
外食が出来なくなるから買ったんじゃないの。
なんか初ホットプレートが焼きそばってなんか違う。
内心複雑な気持ちでした。
「試運転だからいいの、いいの。」
母は言います。
いいけど、楽しみにしてきた自分が恥ずかしいなあ。
そんなことを思う1日となりました。
余談ではありますが、後日きちんと焼き肉をホットプレートで食べることが出来ました。
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